同一労働同一賃金は日本だときちんと機能するのか

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中小企業の場合は2021年からですが、いわゆる大手と呼ばれる企業は、2020年には同一労働同一賃金が施行されています。
そこで気になるのが、同一労働同一賃金の今後です。
同一労働同一賃金は、今後も続くのか、そしてどのくらい定着するのか。
そんな同一労働同一賃金について、考えてみましょう。

おさらい:同一労働同一賃金について

同一労働同一賃金とは、その名の通り労働内容が同じであれば、賃金や待遇は雇用形態や年齢、性別、国籍に関係なく同一であるべきだというものです。

実は、これ以前に日本では、雇用待遇に関係なく不当な待遇格差を生んではいけないという法律は作られています。
いわゆるパートタイム労働法が、それに該当します。

そもそも1919年のヴェルサイユ条約や1951年に設立されたILO(国際労働機関)など、非正規雇用者のための法律や期間は、世界各国さまざまなところで生まれているのです。
にもかかわらず、世界でももちろん日本でも雇用格差は生まれ、待遇の格差は問題となっています。

給料の支払い以外にも、休暇やオフィスの設備の仕様権限など、さまざまな制限があります。

この制限によって、所得に格差が生じているのが日本の現状です。
そして所得の格差以外にも、非正規雇用者の割合も増え始めていることから、問題の解決につなげる施策として考えられたのが、同一労働同一賃金です。

同一労働同一賃金は浸透するか

同一労働同一賃金で焦点になっているのは、「この施策は浸透するのかどうか」ということです。
結論から言えば、可能性は高いといえます。
会社の現場が、昔と変わり始めているからという理由が挙げられます。

昔の会社は終身雇用が多く、勤続年数の年功序列や古い価値観がメインでした。
しかし、現代においてはそういった会社の数は、大きく減り始めています。
いまや終身雇用の会社はほぼ消滅しかけており、ステップアップのための転職が、当然のように選択肢に入っている時代です。
つまり、人は昔ほど一つの会社に固執しなくなっているのです。

加えて、インターネットの普及により、会社の内情が広がりやすくなったというのも拍車をかけています。
実は、同一労働同一賃金には、罰則がありません。
そのため、施行された後に不当な待遇を続けたとしても、法で罰されることはないのです。

しかし昔と違って、今ではインターネットで不都合なことも簡単にバラされてしまう時代になりました。
会社ぐるみで不当な待遇をしている場合、その実情が常に拡散される恐れがありますし、録音や録画、写真など、不正の証拠は誰にでも集めやすくなっています。
また、今は情報のやり取りが簡単に行なわれる時代なので、訴訟のリスクは昔に比べれば圧倒的に高くなっています。
つまり、昔に比べて会社は、絶対的な立場ではなくなっているのです。

よって、同一労働同一賃金が施行されたあとは、対策が練れていないと訴訟のリスクが上がるため、自ずと浸透しやすくなると考えられます。

対策は忘れずに

そんな同一労働同一賃金ですが、実際のところ多くの企業には、さして影響がありません。
同一労働同一賃金で問題になるのは、あくまでも不当な待遇格差が生じていればの話であり、施行前から正しい待遇をしていればほぼ何もする必要がないからです。

もし、自分の会社に問題ないかどうかを確かめたいのであれば、会社で雇っている税理士に相談したり、同一労働同一賃金に詳しいコンサルティング会社に相談し、問題ないかどうかの確認と対策を行ないましょう。